この家は閑静な住宅街にあって旗竿状の敷地です。
東西南北4方すべて民家や集合住宅に囲まれていて進入路も狭く車の回転スペースと駐車スペースのため北と東側2方向にそれなりの広さ(それぞれ巾5mずつ)を確保しなければなりませんでした。
残ったスペースに、夫婦+子供(当時3人)+ミニチュアダックスフンド犬の家族が暮らす家として、その中央に中庭を配しそれらを取り囲むようなコの字プランとなっています。
しかし、施主様からのご要望からあまり閉鎖的にならないような、おおらかな家としました。
南隣家は総2階建てが建っておりそちらからの視線を遮る効果として2階子供室をせり出しています。
その1階部分は土間の開放的なピロティで半屋外部分として犬の居場所や多目的に使えるゾーンとしてご提案しました。
中庭の延長として連続しており庭の広がりに効果的ではないかと思います。
家族皆が集まる居間はその中庭に面しています。
ご夫婦共通の趣味として家の中でゆったりと過ごし本を読んだりボーっと過ごす時間が好きということで、どこでも本が読めたり、1人になれたりする色々な居場所をつくることがこの家のテーマとなりました。
居間や和室は勿論ですが、廊下や階段、またその下、2階多目的コーナー、本棚コーナー、ロフトなどあらゆる所の余白を利用し、また1階の屋根の上もその一つです。
2階からの眺めも遠くに大山が望めゆったりとした時を過ごせるのではと思います。
この家族にとって2度目の家造りは、完成形ではなく子供達の成長に併せ進化していく家を望まれました。
素材やディティールは、鳥取県産材の表し天井板や塗り壁材の自然でざっくりとした線の太いイメージで表現しました。
飾り気の少ない家を好まれるお施主様にとって建物が周辺環境に静かにたたずむよう留意しました。
【撮影】野津研一
【建築家】宇佐美淳
(島根)