夫婦と子供2人、新たに同居する奥様の母親の5人が住む住宅を計画。
適度な家族間のプライバシーを確保しつつ、夜勤のあるクライアントが家族の雑音を気にせず睡眠できる環境を実現するために、各部屋を分棟形式とすることでほどよい距離感を保つ。
分棟形式の「イエ」の上に、通年の雨、冬の雪や北西風、夏の西日に対するバッファーとして地面から伸びる切妻の折板屋根をかけた。
同時にこの大屋根は近隣住宅からのプライバシー確保にも貢献し、大屋根と「イエ」の隙間から入り込む自然光により、昼間は照明に頼ることなく明るい室内を実現する。
この大屋根は分棟された家族の「イエ」を包み込むことで、家族間のつながりを感じられるだけでなく、「イエ」から屋外のようなリビングに出てくることで、プライバシーが守られつつ開放的な空間を共有することができる。
厳しい環境の中にありながらも、切妻の大屋根の下に家族が集うことで、温かみのある充実した生活空間になっていくことを願う。
【撮影】笹倉洋平
【建築家】吉本英正・三宅正浩
(兵庫)